日本におけるマーケティングの定義
日本マーケティング協会の1990年の定義によると
「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」
とある。
「他の組織」とは、「教育・医療・行政などの機関、団体」などを含む。 一般的にマーケティング活動は、営利を追求する企業のための活動と捉えられているが、組織全般が行う活動を享受者(顧客、住民など)にとって最適化する、というマーケティングの基本的な概念は、自治体やNPOなどの非営利組織にも適用できるため、「他の組織」が定義に含まれている。
「グローバルな視野」とは「国内外の社会、文化、自然環境の重視」。 一般的にマーケティング活動は、組織と顧客の関係構築の活動と捉えられているが、顧客が現在、直接に意識している欲求(顕在化しているニーズ)のみに応える活動を行っていては、長期的な利益(環境保護など)と反する恐れがある。そのため、顧客が意識していない欲求(潜在化しているニーズ)や、長期的に欲求に応え続けられる仕組みをつくるために、「グローバルな視野に立ち」が定義に含まれている。
その過程が、組織の一方的な顧客への押しつけではなく、顧客への啓蒙、理解を伴う必要があるために、「相互理解を得」が定義に含まれている。
企業は利潤を追求するという性質を持ち、マーケティングもその一分を担う活動ではあるが、利潤追求のために非合法、不正な活動を行うのではなく、「公正な競争」の上に成り立っている必要がある。
「市場創造」とは、市場(=顧客)の既にあるニーズを満たし(既存市場の維持・拡大)、まだないニーズを探し、満たす(新規市場の創造)活動のこと。つまり、マーケティング活動の中心的概念。
「総合的活動」とは、「組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動」をいう。 マーケティング活動が、組織の一部が行う、組織活動全体のうちのごく一部の活動を指すものと間違って捉えられがちなため、対象範囲を組織活動の多くの部分であり、組織の多くの部門が関わる活動であることを定義に含んでいる。
マーケティングの定義を理解しやすいように、主たる部分だけ残すとすれば、「マーケティングとは市場創造である」となるが、歴史的経緯や時代の要請により、その他の多くの注釈的部分が追加されたと理解できる。
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日本のマーケティング研究者
・久保村隆祐(元横浜国立大学学長・名誉教授、専攻:商学、流通論、マーケティング論)
・田島義博(元学習院大学名誉教授・経済学部教授)
・石井淳蔵(流通科学大学学長、前神戸大学経営学部教授、商学博士)
・嶋口充輝(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、慶應義塾大学名誉教授、Ph.D(経営学))
・恩藏直人(早稲田大学商学学術院長兼商学部長、博士(商学))
・亀井昭宏(早稲田大学商学部教授、商学博士、専攻:広告論、マーケティング・コミュニケーション論)
・青木幸弘(学習院大学経済学部教授、商学博士、専攻:消費者行動論、ブランド論)
・井関利明(千葉商科大学政策情報学部教授、慶應義塾大学名誉教授、社会学博士)
・疋田聰(東洋大学経営学部教授、専攻:広告論、マーケティング論)
・和田充夫(関西学院大学商学部教授、Ph.D(経営学)、専攻:マーケティング・コミュニケーション論、リレーションシップ・マーケティング)
・堀田一善(帝京平成大学現代ライブ学部経営マネジメント学科教授、専攻:マーケティング学説史)
・松江宏(愛知大学名誉教授)
・三浦俊彦(中央大学商学部教授、専攻:マーケティング論、消費者行動論)
・堀越比呂志(慶應義塾大学商学部教授、博士(商学)、専攻:マーケティング方法論、マーケティング学説史)
・武井寿(早稲田大学商学学術院教授、博士(商学)、専攻:マーケティング理論研究、マーケティング・コミュニケーション論、消費者行動論)
・相原修(成蹊大学名誉教授・元経済学部教授、日本大学商学部教授、専攻:フランスの小売マーケティング、フード・サービス)
・樋口紀男(エンドレス・コミュニケーションズ代表取締役会長、元日本大学商学部教授、専攻:マーケティング・コミュニケーション 論、社会心理学、臨床科学哲学)
・長谷政弘(元日本大学名誉教授・元商学部教授、専攻:マーケティング論、観光マーケティング論、観光学)
・梅沢昌太郎(元日本大学大学院商学研究科教授、博士 (農学)、専攻:農業マーケティング、公共・非営利のマーケティング、アグロ・フード・マーケティング)
・矢吹雄平(岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授)